速く走るために何が重要か?クルマのパワー?サスペンションセッティング?・・・。ドライビングテクニックのなかで最も重要なひとつが”ライン取り”だ。サーキットにおけるレースでも公道におけるラリーでもライン取りひとつでタイムが大きく違ってくる。無数のそして実に様々なコーナーが出てくるラリーではレースとは違って非常に奥が深い。最速ラインの考え方のポイントは『いかに直線的に各コーナーを繋げていくか』『コーナー立ち上がりに向けていかに早くアクセルを開けられるか』そしてこの2つを基にした『自分がこう走りたいというイメージ』。この基本を普段の街中やチョッとしたワインディングでも実践すれば(公道でそして普段の道での決められた1車線のなかでも僅かながらライン取りは出来るはず)、一見地味なようであとでスポーツドライビングに非常にプラスとなってくる。
早くインにつきすぎて立ち上がりでステアリングを切り足してはいないだろうか・・。進入、立ち上がりでアウト側を十分使っているだろうか・・。
インプレッサのリヤのドライブシャフト、このタイヤ側のブーツはグラベルロード(ダート)を走るとすぐ破ける。理由は簡単、サスペンションのナックルブラケットとブーツのすきまが微妙で、そこに小石が挟まるから。この経験に泣いたことのある人も多いことだろう。この対策としてアフターパーツで何種類かプロテクターが販売されている。ブーツをそっくり覆ってしまうものや”ひさし”状に上部をカバーするものなど様々。私の場合モロにブーツに被せるこんなパーツを実戦でも使っている。いろいろなものを試した結果、頻繁にサスペンション交換をするような使いかただとこれが一番使い勝手が良く効果的だった。頻繁にサスペンション交換をしないなら他のタイプでも問題ないと思うが、ダートをよく走る人は何かしら対策すべき。破れてからではときすでに遅し。修理代は結構高い・・・・。
車の寿命は?というと漠然としているが、通常10万km走行または10年間過ぎるとなんとなくその程度が不安になってくるもの。中古車では5万km走行を超えると急激に査定額が悪くなるとも聞く。ではラリーカーは・・・?
よほどのトップ争いでもない限り、ラリーはドライビングの上手い下手が成績に左右する競技。旧型車でも潜在的ポテンシャルが高ければまだまだ走ることが出来る。ラリーカーをメンテナンスよって常にベストな常態に保つということは大事なこと。サスペンションやブレーキなど消耗品である部分を適時交換することで寿命は確実に伸ばすことが出来る。考え方によってはエンジンやトランスミッションなども同様。ただし、いくら消耗品を交換していっても“ボディ”は交換することが出来ない。つまりこのボディ寿命がラリーカーの寿命とも言えるかもしれない。
これを伸ばす方法はしっかりと補強を施すこと。ボディはクラッシュしなくても少しずつ”へたってゆく”もの。鉄板をつなぎ合わせている溶接個所がはがれたりして少しずつ柔らかくなっていき寸法も狂ってくる。そうすると、サスペンションがしっかりとした機能を発揮できず操縦性が悪くなったりトラクションが悪くなったりする。激しくボディに負荷のかかるラリーでは1戦でボディが柔らかくなってしまったり最悪亀裂が入ったりすることもあるくらいだ。補強をしっかり施せば数年間、数十戦走っても寿命は尽きない。ボディ補強はお金もかかるものだが長い目で見ればベストな状態をたもちつつ寿命を延ばす“お徳”な話なのである。
もっとも、エンジン、トランスミッションが非常に高価なグループAなどはボディも消耗品のひとつかもしれないが・・・。
寒い地方をドライブしていると”現在の気温○○℃”という電光表示板を頻繁に見かけるようになった。”今日は寒いんだな・・・”なんてなんとなく見過ごしてはいないだろうか。これはドライバーにとって重要な情報。ここから読み取るのは”路面の凍結の情報”だ。雪のない黒っぽく濡れている路面。これは当然のごとく0℃以下になれば凍結路面となる。ドライビングとは常にセーフティーマージンをとりつつ走るものだが、凍結していないのに今にも止まりそうなスピードで走るのは馬鹿げているし、凍結した路面でカッ飛ぶのはどんなうまいドライバーでもクラッシュするのはあたりまえ。そういう意味で、スムーズで安全そしてそこそこ速いという臨機応変なドライビングをするためにこの”温度情報”は欠かせないのである。かつてスノーラリーで外気温度計をドアミラーに取り付けているラリーカーもあった。最近では外気温度計が標準装備されているクルマも多い。活用しない手はないだろう。ただし、マイナスの気温であっても、最近の優れた凍結防止剤のおかげで凍結路面になっていないこともある。こんな時は路面の光の反射を良く見よう。濡れていて前走車が水しぶきを上げているような時は明らかに凍結防止剤が効いていて比較的安全。路面がキラキラ光っているようなら凍結していて非常に危険な状態だ。・・・まあいずれにせよ、“0℃以下”になったら慎重な運転をお忘れなく・・・。
ブレーキのチューニングといっても多種多様。ブレーキパッド交換、ブレーキホース交換、スリットローター交換?・・・などなど。ではどこまでやるべきものなのか。まずは今のブレーキシステムに大して何が不満なのかで変わる。ペダルタッチが違うのか効きが欲しいのか。最近のハイパワー車には、非常にいいブレーキシステムが装着されていることが多い。富士や鈴鹿などの高速サーキットを除いて日光などのミニサーキットであれば、ノーマルのブレーキパッドでも結構いけるくらいだ。もちろんスポーツパッドを入れた方が安心なのは言うまでもないが・・。ただし、タイヤの限界が低いのに”効きすぎる”のではタイヤがすぐロックしてしまう。タイヤとブレーキのバランスも重要だ。
ところで、そのブレーキ、最大限利用しているだろうか。ブレーキパッドを高性能にしても、タイヤの限界をぎりぎりまで使わなければブレーキを生かしきっているとはいえない。また、タイヤがロックするぎりぎりでブレーキングしていてもそのタッチを微妙に感じながら姿勢変化などに生かしているだろうか。ブレーキのグレードアップは一生懸命走った時に不満を感じたところを少しずつ解消していけばいいと考えたほうがいいだろう・・・。
ちなみに私の場合はブレーキを選ぶ時、どちらかといえば”効き”よりも”タッチの良さ”を優先する。また過酷なターマックロードの場合は安定した性能をどれだけ維持できるかという”耐フェード性”も重視している。