早くも2012年のWRCが始まった。
昨年、WRカーが1.6Lターボとなり久々大幅レギュレーションしたWRC。技術的にはいろいろ難しい問題をクリアしながら各チームの作り上げた最新マシンではあったが、映像からは2リッターターボからサイズダウンして走りの迫力が減ったことは否めない。WRCを見るものとしてはちょっとトーンダウンしていたのは事実。ProdriveのMINIがWRCに参戦したことで多少の変化はあったんだけど・・。
シーズン開幕戦というのは、どのカテゴリー、どの国でも毎年どんな変化や新しい話題があってもっとも興味深いイベントでもあるものだ。
さて、2012年の開幕戦、モンテカルロ。
WRCの開幕はどうなることかと思いきや・・おっと、なかなかいい感じかも。
スタート前の話題でいえば、ヒルボネンがライバルチームだったシトロエンチームに移籍したし、フィエスタでのぺターやデルクールの参戦も興味深かった。
そして・・この週末。
伝統の大イベントが終了。
相変わらずシトロエンDS3のローブが優勝。安定してて、しかもタイムをみれば余裕の勝利!?。
ちょっとみればリザルトは“いつものこと・・”って感じ。
でも・・その後、2位以下がとても面白い・・・。
まずは、最近個人的に気になってきてしょうがない"Mini John cooper works WRC"が2位!
登場した時は大柄なSUVみたいで最近の優雅なラリーカーからするとちょっと異様な感じもしたけど、今じゃ立派なラリーカー。そしてなんだかスプリンターとしてのカッコよさと貫禄が見えてきたのが不思議。フォードをおさえての2位は立派です。もちろんドライバーのソルドもね。(それと結果をだしてくるプロドライブも)
今後のMiniのポテンシャルとソルドのパフォーマンスの両方に興味津々。ビッグニュース性という意味で、このコンビがどこかで優勝したら最高なんだけど。
それから、今度はフォードをドライブするかつてのスバルドライバー、ぺターが3位。なんとなくパフォーマンスの派手さが先行しがちだったけど、いろいろチーム体制で苦労していながらどのマシンに乗っても速さを証明するところが気がつけばかなりの実力派な感じ(DAY4なんかトップだし)。今回はあらためてそれを実感。
そして、4位はいままでのライバルチームだったシトロエンへ移籍のヒルボネン。今回のリザルトで一番注目されていただろうし、そして一番悔しがっていたドライバーかと勝手に想像。チャンピオンを争っていたトップ2人が同じトップチームで走るっていう構図は、この2人がワンツーで圧勝してしまってはWRC自体が面白くなくなってしまう・・。でも今回のリザルトでこの2人の今後の行方はちょっと面白くなってきた。でもヒルボネンにとっては今回は難しい路面で初めてのマシン。まずは肩慣らしといったクレバーさでしょう、きっと。今後の巻き返しは必ずあるでしょうね。
さて、5位にノビコフ。2008年のWRCジャパンのシェイクダウンを札幌ドームでのんびりと眺めていた時にGpNランサーで「なにも練習でそこまでやらんでも・・・」というくらいクレイジーなドライビングをしていたのがずっと記憶に残ってる。確かあの時に弱冠18歳。とんでもないヤツがきたぞと。あの時以来なんとなくチェックしているがいつも派手(黄色のC4での腹見せジャンプなんか有名!?)
かつてのコリンマクレー的ともいえるこのようなタイプは今のWRCには必要だ!!
でも路面と天候が猫の目のように変わるこのモンテでこのリザルトはベテランになってきた証拠か。今後が楽しみ。ぜひどっかで優勝して欲しいなあ。
そして・・・
デルクール!!
自分の世代としてはやっぱり感慨深いものがあります。世代交代は大事ですが、やっぱ少しは“昔の人”が走ってなきゃ。そして堅実に6位に入るあたりやっぱりベテランの貫禄。カッコいい。きっと本人はもっと上位をねらってたんだろうけどね^^ 自分もどっかでこんな風に復活参戦してみたい~。
う~ん・・・でも、だいぶ白髪交じりだし。すっかりおじいちゃん風になっちゃったなあ。
ということで、その他にもS2000マシンが結構速かったのも印象的。
・・・とにかくいろいろ興味深かった2012年の初戦モンテ。
今シーズンのWRCは去年より楽しめそう!
(写真)MONTE-CARLOオーガナイザー公式WEBより
http://www.acm.mc/
(追記)それにしてもなんだか違和感のある今年の“DAY表記”
3日目なのに“DAY5!??”
いつのまにか5日間ラリーになったのかと(笑)
~なんだかわかりにくいなあ。
【→さっきご指摘があって調べたら・・本当に5日間だったんだ^^;
初めて出たWRCニュージーランドは4日間、レッキも入れたら一週間オーバー。
死ぬほど大変だったけど、5日間!?大変だ。でも1日あたりのSSは少ないなあ。】
昨年、ある注目若手ドライバーの話をしました。台湾産?の注目株です。
あれから、さらに一回りおおきくなったダーウェイ、マネージャ役?の貫禄お父さんもいっそう力が入っています。
(過去ブログ参照 http://shigeyukikonishi.blog.shinobi.jp/Entry/511/)
彼は昨年に引き続き、上海のチーム、“RedBull SKODA” で走っています。
大柄なOKTAVIAです。WRCでは4WDターボだったこのクルマも、ここチャイナではNAエンジンのFF車。
ちなみに、ラリーファンであれば日本でもご存知の方も居るでしょう、SYMSインプレッサでチャンピオンになったあの“マクシェア”も今年は同じチームに助っ人参戦してます。
でも・・・ダーウェイの方が速いんです。
しかも彼は確実にどのイベントでも完走して帰ってきます。これでは応援したくならないほうが不自然というものです。台湾はもちろん、中国メディアからも熱い視線。つねに取材攻撃です。
実は、ただえさえ本当の意味で速いドライバーが少ないこの中国において、ここ数年の間に名実ともにトップドライバーの中国人若手2名が事故や病気で亡くなっています。
そんな背景もあるでしょう、今や実力派若手ドライバーは超注目なんです。
こんな、悪ガキがおおきくなったようなちょっと童顔の彼ですが、走りはステディでアグレッシブだし、台湾人としては意外にもまともな英語がしゃべれます(お父さんはまったく英語だめですが・・)。ドライバーとしてはワールドワイドになる素質十分。彼の才能からしてこのマシンではもう役不足かも。彼が早く次のステップにいけることを祈るばかり。
~それにしても、今回彼のもうひとつの一面を見てしまいました。
それは“超やんちゃ”なこと。
クラス優勝をして、ポディウムでクルマの上に立ち、シャンパンファイト。
でも・・まず何をしたかというと・・
隣下に立つかわいいキャンギャルにシャンパンを“バシャ~。。”
しかもビンを逆さまにして見事に頭から・・です。
ここでこんなことするか・・普通・・。
意外な展開にあいた口がふさがらない・・
なにより、行動の意味がわからん!?
いつも満身笑顔のラリークイーンもさすがに笑顔がひきつってました。
かわいそうに・・。
(実は彼、最終サービスパークではチーム内の別の女の子にも容赦なく“シャンパン&レッドブルドリンク!”のダブル攻撃を浴びせてたんです・・苦笑)
これってワールドワイドなスター性?ってこと。
まあ・・そういう意味ではこれはこれでアリなのかも。
将来大物になりそうな予感・・
本当に今後が楽しみな若者です。
(photo:autoblog)
そういえば、今年のWRCは新型WRカーの時代だ。
いままで2リッターターボだったのが、1.6リッターターボに。ダウンサイジング時代の今だから自然の流れでしょう。ラリーカーとしてひと時代の完成形ともいえる、2010年までのWRカーがなくなるのはさびしい気もするけど、ラリーカーとしての迫力があればいいのかな。最近だとエアロダイナミクスも機能美を感じてこれは素直に好き。(もっとも過去のノーマル然とした外観のラリーカーが疾走するのはこれは別の次元のカッコよさがあるけど)
ところで、迫力といえばやはり走りでしょう・・でもそのためにはエンジンっていう要素はとても大事!というお話。
これまでのWRカーは小さなパワー制限のリストリクターを吸気側に取り付けられていたために、エンジンパワーの常用域はRPM4千前後。なので独特の低いエンジン音が特徴だった。もちろん、“低い”といっても、高効率のレーシングエンジンだし、アンチラグもつかったりして、これはこれで実際に見ると腹のそこに振動が来るような迫力音。でも・・・2リッターNAエンジンである昨今のS2000カテゴリーマシンを見てひとつ気づいた。やっぱり、エンジン常用回転域が高回転は迫力満点! 一生懸命走っている感じもするその音に湧き上がる感動を覚えます。やっぱりレーシングカーに音の要素は大事だ。
2009年のチャイナラリーで初めてアリスターマクレーがドライブするプロトンS2000を見たときにとても印象的だったんだけど、老若男女に一番人気だったのがプロトンS2000だった。スタート順は20番以降だったような気もするが、それでも、SSの沿道に居合わせた人々はワクワクしながら、そして時に歓声をあげて待っていた。スタートしてからずっと甲高いエンジン音が山々にこだまするあの迫力は誰にでも分かりやすいカッコよさだった。
さて、Youtubeなどでは早くも2011年仕様のWRカーの走りが見れる。まだ完全じゃないかもしれないけど、“甲高い音”でもなく“迫力の重低音”でもない、このマシンがどれだけ“迫力ある走り”をしてくれるのか興味深々である。“大柄なボディ+大パワー=迫力”って自然な方程式があるけれど、“小さなボディ+小排気量”ですからね。いまのところ、路面のウネリにあわせてエンジン音がウワンウワンと上下しているようなサウンドで、なんだかパワーが不足しているような印象。もちろん小さいエンジンだから仕方ないんだけどね。まあ、これはこれからGpA時代の黎明期がそうであったようにこれから各メーカーとコンストラクターの努力で迫力のエンジンになっていくんでしょうね。突き詰めたものにはかならず感動を感じさせてくれるものがあるはずですから。
それにしても、こんなWRCの動向にも関連して、ちょっと不安になることがひとつ。日本の自動車メーカーってこの“ダウンサイジングとスポーツの両立”ってトコロ遅れてません? 最近の欧州車、ダウンサイジングといっても、スポーツグレードはちゃんとこのコンセプトが生きてます。もちろん開発に時間と費用は掛けたのだろうけど、みて、触って、走らせて・・そのたびに、「量産エンジンなのに・・、ベースグレードなのに・・」という“考え方の違い”を見せ付けられて日本人として複雑な気持ちになることがよくあります。なんだか“環境”とはいいつつもしっかり“クルマの楽しさ”を忘れさせない・・・。そんな文化の違い?を感じると、日本におけるモータースポーツの停滞って自動車メーカーがもっと何とできるんではないかな・・と。というか“するべきだ”と思う今日この頃。(というか開発時間を考えると、時すでに遅し?そうは思いたくないけどねえ・)
まあ、それはさておき、
2011年のWRC初戦はもうすぐ!
たのしみだなあ。。
過去の3年間のWRCゼロカー体験を振り返ってみると、いろいろな記憶がよみがえってきますが、その中でも特に
“広大な札内スーパーSS”
“サービスパークに隣接する北愛国のスーパーSS”
と、WRCオーストラリアを経験して依頼、どうも根っからの?スーパーSS好きだけに、この2つが強く思い出されます。
そして今回の目玉は~
“世界初の屋内スーパーSS”と謳われた“札幌ドームのスーパーSS”
です。
これに関しては事前からワクワク。
ヨーロッパではドームではないけれどオリンピックスタジアム内でこのスタイルのスーパーSSが開催されたことが何回かあり、それはそれでその人工美!?にワクワクしたものです。
それと同じコトが実現するなんて・・・!
ちなみに、このドーム、ご覧のとおり、素ではコンクリートの床。でもなま芝生のサッカーグラウンド1面が屋外にあって、その巨大な“緑のプレート”がローラー付きで移動してきてこのスタジアムの中に納まるという驚愕のシステム。写真正面の明るい部分がまさに大きく開いた外部への“口”です。ここから芝グラウンドがスライドして入ってくるというわけです。
ちなみに、グラウンドが入ってきたあとは扉が閉まるように右方向の壁の中から観客席がこれまたスライドしてくるという・・・~まさにナショナルジオグラフィックの巨大シリーズに最適なネタですな。
・・・でもこの設備がゆえのあるモノで、後日悲劇を経験することになろうとは・・・。
~つづく。