WRCは今年大きな転機の時が来ている。昨年まで6ワークスがひしめいていたトップ争いが、4チームの撤退で一気にその世界選手権としての賑わいと緊張感が低下した。アクロポリスでのスタジアムのスーパーSSにおける大幅観客減も決して観戦料の値上げだけではないように思える。
昔の話を懐かしむようでは困ったモノだが、実際グループBからグループAに移行した直後は興奮が少し冷めたようにおもえるが、その後の数多くのワークス参戦と日本車の活躍によってすぐに活況をとりもどした。それから多くの個性的なドライビングスタイルをもつドライバーがしのぎをけずっていたことも非常に印象的。昔の映像をみればその雰囲気は歴然。最近に比べれば外観を改造できないマシンは市販車然としていて今の方がよっぽどカッコいい。でもその気迫の走りはとにかくまばたきをするのを忘れてしまうくらい。ドライバーもチームもそしてマシンも何もかもがトップタイムを目指して全力で戦う。この頃の車はパルクフェルメにたたずんでいるときはいわば“静寂”の美しさ、そしていったん走り出せば“躍動”のマシンに豹変する。10~15年前のマシンをみるといまさらながらそんなギャップが魅力的に思える。
そして、今日・・
そうは言うもののこれも時代の一つの変わり目として長い目で見ればまあいいのかもしれない。登り続ければいつか息切れもする。このような時代があるからこそ次の時代がより成熟した物になるともいえる。新カテゴリーであるスーパー2000もすこしずつその“動き”が見えてきた。ラリーの魅力は、自然界の舞台でドライバーとマシンが一体となって全開アタックするその気迫のパフォーマンス。 それが主体となっていれば、マシンがなんであろうとその魅力があせることはないだろう。
では今年の各マシン・各ドライバーの走りのパフォーマンスは?
・・・やっぱりそれはそれ。その極限度・・魅力的です。
【Photo: Ford official Website】