ランサーEVOⅨの試乗会で初めて走った富士ショートコース。実に面白い。その設備の充実度ゆえミニサーキットと呼んでいいのかどうかわからないがいままでのこの手の“ミニサーキット”の中ではダントツのオモシロさ!? いままで富士、鈴鹿、SUGO、筑波、・・といろいろ走ったことはあるが、どうしてもミニサーキットは“ミニ”だけに、スピードが出たり、派手なブレーキングや派手な横Gを感じにくく、“エキサイティング”という言葉では表しにくい。しかし、ここはコーナーが丘越えのようになってコーナーの出口が見えないいわゆる“3次元ブラインドコーナー”なんかもあり、ブレーキングもラン取りも奥が深い。ついでにストレートも派手な下りだけにブレーキングも負荷が高い。このショートコースはこれらワクワクするようなシチュエーションがふんだんに盛り込まれている。コースには枝道がいくつかあっていろいろなコース設定が取れるらしい。今回はフルスペック?の設定の様子。常にコーナリングするその飽きのこない設定が楽しい。
それにしても1コーナー外側にあるエスケープゾーンは外側まで使っていいのか悪いのか・・・。一応コースとの境界線に緑色の絨毯のようなものが轢いてあるのだが、立ち上がりではらんでいくと2コーナー目の進入スピードのノリがいいだけに、その“緑の絨毯”を越えて踏みつけてついついはらんでいってしまう。ラリードライバーにありがちだが、サーキットといえどエスケープゾーンがダートであっても後輪を落としながら立ち上がっていってしまうもの。今回のようにエスケープゾーンに段差も無くきれいに舗装されているような場所ではなおのこと外側も使いたくなる。でもそこはサーキット。やっぱり節度ある走りをしなければ・・・。なんどかはらんだためにブラックマークがくっきり。ちょっと後ろめたさ。
当日は雑誌向け試乗会だけに、他にもレーシングドライバーたちが何人も来ている。ちなみに、午後の部で走行していた同じくラリードライバーの三好さん、
「1コーナーって外側はどこまで使っていいんだ?? オレ遠慮なく外側まで使っちゃったぞ」
「・・・」
・・・さすが大先輩。やはり、そのくらいの大胆さが大事なんだな。
最近日記更新が滞ってます・・が、全日本ラリーのシーズンイン前でもありJRCA業務が多忙。まあ、日本のラリー発展のためなのでどんどん進めなければなりません・・・。
さて、3月1日には発売に先行してランサーEVOⅨのプレス向け試乗会があった。場所は改装され一新された富士スピードウェイ内のショートコース。ちょうどかつてのバンク1コーナーのイン側に設置された比較的新しいコース。到着すると新型のEVOⅨがGSR,GT,RSと各グレードが2台づつ。予備兼撮影用が数台。比較テスト用EVOⅧMRが数台・・・とランサーだらけ。インプレッサではこのようなシチュエーションに何度か出会ったことはあるもののランサーは初めて。これだけランサーが集まると壮観です。先日のチャイナラリーでEVOⅦをドライブし比較的ランサーを身近に感じている昨今の自分としては、かつてライバルと思って憎たらしかったこの“顔つき”もかっこよく思えてくるから不思議。
試乗してみるとインプレッサのスペックCのイメージがあるだけに非常にマイルドでおとなしい。ACDやAYCなどの最先端メカニズムもありものすごく安定度が高いのでそう感じるのかもしれないが、とにかくちょっと拍子抜けするくらい。でも比較で乗ったEVOⅧとより確実に速くなっていたし、振り回せばちゃんと豪快な走りも出来る。今後のインプレッサ対決が実に楽しみだ。
(→この“こにたん試乗記事”は『WRCプラスVol2』『Racing On』で掲載中!)
さて、当日は友達というかライバルというか、カツ(田口勝彦)も居た。置き撮りでは「赤ランサーと青ランサーの前で二人で睨みあってください・・」なんてあおりモンだからすっかり気分も盛り上がり・・・。編集長の「じゃあ2台で走ってみてください」という誘いに待ってましたとばかり車に乗り込む2人。先日台湾でシルビアとのツインドリフトを練習したばかりなので「先行っていいよ」とカツに合図。壮絶バトルがはじまった!?
しかし、さすがはランサー使いのカツ。どうしても第一コーナーで離されてしまう。2台の激走シーンの撮影だから、車間距離をギリギリまで詰めなければ意味が無い。ラリードライバーの性かここぞとばかりに全開走行するカツの後ろから「もっとゆっくり走ってくれー」とか「おーい気がつけ~」と手を振ってみたり・・・。しかしまったく気がつく気配も無い。
一度ピットに戻って、じゃあやり直しとマシンをチェンジして再挑戦。今度は自分が前だ。さすがに今度はいい感じにツインドリフトっぽくなってきた。5~6周くらいでピットにもどる。編集長の一言、「今のカラミの写真は使うことないけどね・・ 」
そうなんです。息があってきた2回目の走行は雑誌には取り上げられるはずも無い比較用のクルマEVOⅧMRだったから。どうりで三菱の人が「タイヤを無駄遣いするなよ」という顔をしてたわけだ・・・。
興味の尽きない、台湾紀行。
たまたま紹介されたオフロード車好きの“とある”怪しげな人。
「オレもランクル乗ってたし、ディフェンダーの110買うのが夢なんだよね・・」なんて言ったから大変。“ディフェンダー”ということばに異様な盛り上がり。「ぜひ家に遊びに来い」とことで、さっそく行ってみた。
到着して“絶句”。
そして次の瞬間、興奮せずにいられません。
ディフェンダー あるはあるは合計・・・数えられないほど。台湾にある全部のディフェンダーをもっているのかと思うようなコレクションの山。古いのから新しいものまで、そして部品取りの事故車・・・。いやあ、やはり真のコレクターは一味違う。しかも、彼は実戦行動派。山越え、谷越え“アタック”用の本格クロカンでフェンダーももちろんあります。河渡りなんてほんとに室内まで水が入ってくる深いところまでアタックしてます。
う~ん。すごい人って世の中いっぱいいるもんです・・・。
なんでもが起こりうる不思議の国、台湾。
スタッフの同乗走行をこなしながら、現地タイヤ“MAXXIS”タイヤもテスト。(バイクやレーシングカートでは世界的にも有名なブランドです。)そんなこんなをしていたら雲行き(周りの人たちの)が怪しくなってきた。やな予感がするなと思ったらやっぱり・・
『午後から取材が来るから・・・ツインドリフトを練習しておいて欲しいんですけど・・』
そしてこの国に来るとついつい『分かったよ・・』と答えてしまう。みんなの純粋でひたむきなワクワク感とノリで迫られるとついつい・・
しかし、4WDとFRのツインドリフトって難しい・・コーナー中盤はどうしても4WDのほうが速い。FRはフルカウンターのまま“のそのそ”コーナーを立ち上がる頃には4WDは横を向きながらでも加速体制。スピード調整は至難の技です。そしてS字コーナーでも向き変え切り返しも4WDの方が動きが速い・・いやはや難しい。結局シルビアが先頭、インプレッサが先頭といろいろ試したものの、4WDは後ろのほうがよさそう・・。先頭だと時々待っていてもふと油断するとバックミラーのはるか後ろ・・・。でも不幸中の幸いだったのは周さんの安定したドライビング。“3速全開進入”でもぴったり後ろをついていけます。
これは走るのも結構楽しいかも! やはりこんなシチュエーションでもハイスピードコーナーならエキサイティング!
『・・・』
しかし、今回ラリーをしに来たのに。
こんなことしていいんだろうか・・・。
さて、ラリードライビングスクールの後はまたまた、好評連載!?“台湾紀行”の再開です。2005年の初戦の台湾ラリーに行ったはずが、ラリーはドタキャン。さてスケジュールが空いてしまったなあと思ったのもつかの間。次のお誘い。
「台中に新しいサーキットが出来るから走ってみてくれ・・」
どうやら 最近アジア圏でも人気が高い“D1”用のサーキットらしい。それはオモシロそうと、インプレッサを持ち込むことになった。ちょっとした小川沿いの並木の山道を上がって言ったところにあったそのコースはカートコースをそのまま大きくしたようなサーキット。でも観客席はあるし、パドックもあるし・・よく出来ている。
しかし!驚くのはそのロケーション。入り口の古臭いゲートには『台湾民族村』と書いてある。いわば観光地の中。この歴史村は文字通り歴史的施設と関連展示物がある場所。最初は、この隣山にでもサーキットがあるのだろうと思ったのだったが、いざ到着してみれば、サーキットは『台湾民族村』と誇らしげに掲げられた山門のようなもののすぐ脇。ギャラリー用駐車場も共用!?という感じだ。敷地の一部にあるというだけで驚きなのに、このサーキットはメインエントランスに・・・。
台湾恐るべし・・。
【左側がサーキットの観客席。正面に山門が見えます。ちなみに黄色のフラッグの文字“用尾”という雰囲気の文字が“ドリフト”のことです】
さてさて、ラリースクールの様子です。今回のスクールは初中級者向けということで開催。どちらかといえば、滑る路面、滑るクルマのコントロールの難しさをぜひ体験してもらいそれを克服して楽しさを体感してもらおうという願いも込められています。つまりは “恐怖”から“喜び”にしてもらおうと・・。雪道や氷上、そしてダートもそうですが『面白いよ』と言われて「オモシロそうだな」と思っても、クルマも準備して、タイヤも買って、朝早く起きて遠征して・・・といざやろうとするとエネルギーも要るもの。でもそれは『病み付きになる楽しさ』を実感していないから。一度実感してしまえば、自然に行きたくなるモンなんです。ということでこの企画・・・。
最初はおっかなびっくりの講習生。最初の一言は「ハンドルがどっちに向いてるか分からないですね・・・」。みんな同じことを言います。そして二言目には「なかなかオモシロイですね・・・」。やはり同じことを言います。そしてそのうち「・・・」無言で黙々と周回を繰り返すようになります。・・・たぶん、止まれというまで走るだろうことは間違いない。
クルマのゲームと一緒で操作のコツが分かってくればだんだん面白くなる。そして操作のコツが分かっていながら自分の理想の動きをしてくれない・・・このなんともいえない“もどかしさ”。
でもゲームと大きく違うことがあります。うまくいったときは、景色だけでなくそれとリンクしてハンドルからくるキックバックとシートからくる横Gになって実感できること。“1トンのクルマ”を操っている快感は体験してみなければ分からないでしょう。
しかし、みんなそれなりに“FR車のドリフトコーナリング”をこなすようになったのには驚きです。これには教えるほうも素直に嬉しい・・・。みなさんの“最初の一言”を聞くたびに、もし何かあったら隣のコースに飛び出さないようにステアリングを押さえようと助手席から身構えていた自分の苦労も報われるってモンです。
知らないと思うけど・・。