『あっ!ホイールが盗まれた・・』
・・とでも思わず叫びたくなるようなラリー会場で見かけたこの光景。たぶんチーム内でラリーカーの修理用として部品を使われてしまったのでしょう。ラリーの現場ではこうした光景は時々見られます。スペアカーとしてレッキ車はこうした受難にあうことが前提のことも多いもの。『とはいってもこれは他のチームのこと・・自分は関係ないや』といって安心はしないほうがいいかも。ラリーカーと同形式のノーマルカーは要注意!? ラリーの現場で『パーツ貸してくれないかな・・』と突然声をかけられることも・・・。
自分は4年程前の北海道のラリーに参戦中、自分のレッキ車もこうなったことがあります。某ドライバー2人から頼まれ、泣く泣くパーツを提供。でも結局は自分もSS内でリヤまわりを破損、自分のためにリアドア1枚を剥ぎ取る羽目に。
ちなみにそのとき貸したフロントバンパーを借りていったドライバーはクルマとともに崖下数十メートル転落。結局バンパーは帰ってきませんでした・・。
そのあとのフェリーでの帰路、レッキ車はフロントと左後ろドアは無いまま・・。
あわただしいことに台湾ラリー参戦の翌週は、北海道・帯広に居た。選手としてではなく今年重要任務についたJRCAの仕事だ。今回の“ノースアタックラリー”は9月に開催されるWRC/ラリーJAPANの開催と同じオーガナイザー、しかも同じ開催地域だった。オーガナイザーにとっても選手にとってもある意味“肩ならし”的イベントだろう。全日本ラリーでは最長ともいえる、トータルSS距離120km前後。どんな結果になるか楽しみ・・。
それにしても帯広はいたるところに“ラリーJAPAN”の看板やポスターを見ることが出来る。他の国のWRCなどに参加したときもそうだが、空港を降りたところから雰囲気がWRCを作っている。もちろん開催まで時間もあるので圧倒されるほどの雰囲気はまだないもののこれからの盛り上がりや当日の興奮の予感を感じさせてくれるには十分。“日本でWRCなんだなあ・・”と妙に感動があります。
帯広市内のTSUTAYAのBOOKコーナーには“ラリーコーナー”が設けられていたりして・・。そこにはテレビデオも置いてあって、ホームセンターにある“おすすめ商品洗脳ビデオ”のごとくラリー映像が流れています。でもラリークラッシュのビデオ映像は“まずいんでないのか”なあ・・
【帯広駅前の風景。コンビにやいたるところにWRC開催告知ポスターもあり。】
さて、全日本ラリーの方はというと・・これがいままで記憶にないくらい波乱のラリー。リタイヤ車が多いラリーは時々ある。だけど、これだけ(特にCクラス)のマシンが“ひっくり返った”ラリーは珍しい。それだけ、みんな気合が入っているということか。
たしかにSSもWRCで使う地域だけあって平均スピードが高い。それでいた比較的砂利の多い滑りやすいコース。ちょっとしたミスやライン違いが派手なコースオフを誘発する。全日本ラリーでは類のない長いステージ距離もそれに追い討ちをかける。
でも、今回のノースアタックはある意味WRCの1日分。これでこのリタイヤ数・・初の日本開催WRCでの“日本人チャレンジ”、大丈夫なのだろうか・・。思えば、過去のラリー北海道(APRC)でも結局最後まで競争している選手は海外からの遠征組み、もしくは海外経験豊富ドライバー。そうなんです、WRCやAPRCのような“長距離”そして“高速”ラリーには独特のマシンセッティングやドライビング、そしてなにより“駆け引き”があるものです。ラリーにおいて日本人が海外で活躍しにくい要因・・そのおおきなものがこの“距離”と“スピード”の文化の違い。ラリーはやはり“経験”が大事。
【2回目の登場、ノリちゃん。SS2で終了。ちょっとリタイヤが早すぎたか・・。】
(ゴメンナサイ、2回目登場は“たまたま”です。気持ちを思うと出来れば載せたくなかったんです・・)
ラリーのロケーションは台湾の中心付近の“草嶺”という場所。数年前に台湾では大地震があったが、まさに地震の中心地。なんでも大きな山が崩れて小さな川をせき止めたために河口湖くらいの大きさの湖が出来たらしい。
土曜日はレッキとSS1。 SS1はクルマの挙動やトラブルをチェックしながらの走行。船積み前に走行は1回だけ。しかもSL山梨6周のみ。サスペンションも違うスペックなのでなんとなく乗りにくい。なにより心配だったのはブレーキやステアリング系のトラブル。台湾ラリーはSSアベレージスピードだけは国際級。今回も後半はサイドブレーキを使うようなヘアピンの連続にもかかわらず、全体でのアベレージは100km/hを超える。初めて全開にするクルマだけに初期トラブルがないかヒヤヒヤものだった・・。
そんなこんなでトラブルは無し。でも様子を見すぎて6番手タイム。トップはEKシビック。明日は“まじめ”に走るとするか・・
【写真:ラリーステージは深い渓谷のまさに“絶景”観光地。日本で言えば長野の“安房峠”ってところか。観光目的のマイカーやらツアーバスが続々とあがってきます。】
全日本ラリ-2輪駆動部門の第3戦が今日行われていた。コース視察から先ほど帰京。
この部門のエントリー車両は実に多彩。そしてドライバーの“攻め”もなかなかでした。
残念なのは、開催地区の諸事情による“マフラーはノーマル”というレギュレーション。
もっと木々にこだまするレーシングサウンドを聞ければもっともっと見ごたえはある。
NAエンジンの高回転の音はかなりエキサイティングだろう。
諸外国ではラリー車が静かだと近づいてくるのがわかりにくいので帰って危ない・・という考え方もある。しかし、日本の中においてはまだ理解されることが難しい地域も多いのも事実・・
こんなクルマも走っています・・。
“HONDA S2000”
SS1のスタートにて。