土曜日は日曜日の本番の出走順を決定する“予選”の日。去年と同じく、限りなくヒルクライムに近いラリーです。ここでトップドライバーのCHINさんがエンジンブロー。前回もナイトラリーで過激なアタックの末に土手を駆け上りクラッシュ。サービスパークではかならずスクーターだの、4輪バイクだの、ミニ自転車など乗れるものはなんでも乗って遊ぶ子供のようなオヤジさんなのですが、そうとうこちらを意識して攻めている感じが伝わってくる?? とにかく走れば過激なオジサンです。
さて、台湾流『動かなくなったクルマをトラックに載せる方法』
写真でわかるでしょうか? 吊ロープ4ほんの先にカギ状のフックがついていて、ホイールのスポークに引っ掛けるだけです・・・ 確かに早い!
ものすごい吊あげ方に思わずみとれてしまう・・
『そんなに珍しいか?』って聞かれたけど・・ホイールは傷ついてもあんまり気にしないんだなあ・・。
どうも昨年末のラリー参戦は相当現地では刺激的だったらしい。なんせ初めて“外人”がラリーで走ったのだから・・。現地の雑誌では“小西重幸”(現地では違う読み方になります)で2ページ特集、ビデオCDも出てました・・。
『今回もゼヒに!』とのオファーを受け、またまた台湾へ行ってきました。
【現地OPTION誌のWebにも登場!漢字なのでなんとなく読めないこともない・・】
今回のラリーは台湾の東南の2つの大きな都市、花連と台東の間あたり。一応観光地だが、道路整備の遅れる東海岸で行われた。台北からは南下すること約2時間。途中、温泉街を通ったが雰囲気は“湯河原”ってところか。その街を通過してまた約2時間、やっと目的地に着く。海岸は岩場のきれいなところ。雰囲気としては伊豆半島って雰囲気です。いま高速道路を作っているとのことで一般道はとにかくワインディング。雰囲気は日本の山岳路にそっくりです。ただ、ガードレールはほとんどがコンクリート壁となっているので雰囲気は素朴(?)というかもっと自然と溶け込んでいる感じもする。
【右側通行なので要注意?でもそれ以外は日本にそっくり】 <>www.carnews.com.tw/option/option_detail.asp?
金曜日はレッキデー。レッキといってもクローズドはしていないので『勝手に見てください・・』状態です。
ステージは去年のそれと似た雰囲気はある2車線の観光道路。ただし、今回はよりクネクネしたワインディングで実にテクニカルなステージです。途中断崖絶壁もあったりで、結構スリリング。もちろんコンクリート壁はあるけど、下のほうまで景色がよく見えます・・。ヘアピンコーナーも結構あったりで見せ場は結構ありそうな予感。
レッキはなぜかシトロエンのC5って高級車。たまたま同行した別エントラントのコドライバーがこれを持ってきたからです。レッキに高級車・いいですねえ・なかなか優雅で。重たいので瞬間加速はたいしたこと無いがいったんスピードが出てしまえば加速の伸びはストレスない。そしてシトロエンらしくサスペンションはハイドロシステム。ストローク感のあるしなやかなサスペンションです。ヘビーFFカーのくせにコーナリングは予想以上にスムーズ。高速コーナーもタイトコーナーも“フロントタイヤで無理やり曲がっている”感じがまったくありません。FF車の理想というべきか、リヤのサスペンションが絶妙に“第2の舵取り”をしている様子。その前後バランスが絶妙です。
面白いのは室内で車高が調整できること。もちろんショックアブソーバーの味付けも車内で調整できます。なんと!車高は走りながらでも調整可能。『低すぎると剛性感はあるぞ、でもギャップの走破性は悪いなあ・・』走りながら調整して見る。これはけっこう面白い!
『よし・・いい感じになってきたぞ。なかなかスポーティーになってきた! コーナリングもいい感じ・・・。』
・・おっとまずい、優雅に走るんだったっけ・・・。
【ラリーステージはこんな雰囲気。通称“5段ヘアピン”で撮影。右上の方向にずっと崖沿いに道路が走っているのがわかります。左に移っているのが今回のレッキカーのC5】
今回の役目は『0(ゼロ)カー』。つまりはゼッケン1号車の前に走る直前先行車だ。去年末のラリーはエントラントとしてゼッケンが合ったのだが、タイム差がありすぎるとのことで『VIP』扱いの特別枠。これはこれで“光栄”なんですが、エキサイティングに競争できないのでちょっと残念な気も・・・。0カーの役割は1番が走行する直前のコースの最終確認的意味合いとギャラリーやオフィシャルに対する競技車両の速さをアピールして安全姿勢をとってもらうため。今回はなんと、台湾ラリー史上初の0カーだそうな??
マシンはTRSラリーチームのドライバーの一人の新型“街乗り仕様”インプレッサを使うことになった。マシンといってもドノーマル。新型といっても、日本スペックではなく左ハンドルの欧州スペック。サスペンション、タイヤ、駆動系・・いろいろな“マイルド仕様”。そんなわけで、うまく走れるんだろうかという不安がよぎる。せめて駆動系のLSDくらいは欲しいところ。なぜなら、信条としてギャラリーサービスはもっとも大事なところ!だから。もちろん0カーの任務も大事だけど。安全を考えて観客に対して接近を知らせるためにマフラーだけはスポーツタイプに交換した。
【これが今回の0カー。名前が堂々と・・日本だったらちょっと恥ずかしくて走れそうにない・・】
スタート前のショーイベント。地元の役場の人だとか、ドライバーへの注意点だとか開会式の式次第が一通り終わった後、突然数人の子供が4輪バギーで乱入、全員が片輪走行し始めた。・・台湾恐るべし!です
さらにはこの中の1人の10歳くらいの子供がハイパワーチューニングのレーシングジープでクルクルと“ドーナツ”(WRCで昔やっていたアクセルターン)。・・またまた恐るべし!!
あまりのミスマッチというか“やばそう”な雰囲気にさすがに3歩くらい後ろにさがりました・・。
(でも意外にうまいもんです。)
この子のオヤジさんは、インプレッサ乗りのちょっと見“ヤクザ風”トップドライバー。この子、泣きそうな顔をして運転していたのが印象的です。無理やりやらされてるのかなあ・・。
・・この子の将来が心配です。
今年モンテカルロでデビューしたプジョー307WRC。どんなマシンとなるかと思いきや、最近のセダンやハッチバック車のWRカーのどちらともつかないある種“異様なオーラ”をもつ形状のマシンだった。ノーマルの307を知っていれば、206の一回り大きいWRカーなんだろうな・・なんて思っていたのに・・。
こんな307ってあったっけ?
これは驚き。このベースカーとなっているのは307CCというカブリオレ。つまりオープンカーです。もちろんWRカーになるとロールケージはジャングルジム状態。通常のルーフやピラーが必要ないくらいの剛性を確保できます。とはいっても補強部材の一部としてノーマルのルーフやピラーがあるに越したことは無い。本当に大丈夫なんでしょうか・・。でも、レーシングカーのポテンシャルを語る上で重要な“低重心”という意味では有利なようですね。なにしろオープンカーなだけに“上屋”が少し軽いわけですから。
この“オープンカーのラリーカー”、規定に許されるルーフ折りたたみのメカニズムは取り外されているらしいですが、ルーフの継ぎ目は元のまま。“ルーフ”外してオープンカーで走れたりしないんでしょうかね・・??
【PHOTO - Peugeot Japon Web site】